大阪地方裁判所 昭和56年(ワ)5511号 判決
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【判旨】
原告の請求は、理由がある。
原告から被告に対し、昭和四〇年ごろから別紙目録記載(1)の本件土地を、返還の時期を定めることなく、地上に建物を所有し使用することを得させるため無償貸与し、被告が同地上に同目録記載(2)の建物を建築、所有し、同地を現在なお占有、使用していることは、当事者間に争いがない。右事実によれば、被告が本件使用貸借契約に所定の目的に従つた土地の使用を現実に終つたということはできないが、右契約締結後すでに十数年を経ているわけであるから、格別の事情がない限り、使用及び収益をなすに足るべき期間を経過したものと推認するに難くない。<証拠>によれば、本件使用貸借契約は、原告の妻金本ヨネが、劣悪な住宅事情に悩んでいる姪とその夫の被告に同情して本件土地を提供しようと申出たことから締結の運びとなつたもので、被告は、同地上に約一〇〇万円の費用をもつて建築したその所有にかかる本件建物に妻子と共に安定した居住をしており、ここから転居するにはかなりの経済的負担を強いられることが認められるけれども、こうした事情を総合しても、被告において本件土地の使用及び収益をなすに足るべき期間が未経過であると断ずることは困難というべきである。
そうすると原、被告間の本件土地にかかる使用貸借契約は、原告からの本件訴状の送達をもつてした解約の告知により終了に帰したものといわなければならない。よつて被告は、右解約に伴う原状の回復として本件土地から同地上の本件建物を収去して同地を明渡す義務があり、その履行を求める原告の請求は、理由があるからこれを認容することとし、なお、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、仮執行及びその免脱の各宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(戸根住夫)